Ｑ＆Ａ

１　試験操業の取り組みについて

Q	試験操業と通常操業の違いは何ですか？
A	通常操業は、一定のルールのもと、漁業者個々の判断によって自由に操業が行われます。試験操業は、福島県の漁業再開に向けて、県漁連を中心とした関係機関の管理のもと、安全が確認された魚種を対象に海域や水揚日などを限定して漁獲から流通までを行い、福島県産海産魚介類の消費地での評価を調査する目的で行われています。

Q	試験操業は、誰が実施するのですか？
A	試験操業は、各漁業協同組合が、福島県漁業協同組合連合会（以下県漁連）、国、県等と連携して実施しています。相馬双葉漁業協同組合（以下相双漁協）、いわき市漁業協同組合（以下いわき市漁協）、小名浜機船底曳網漁業協同組合（以下小名底漁協）に所属する漁業者が操業し、漁獲物は、産地市場において取引され、仲買業者が中央市場等に出荷します。その販売結果は、漁協組合長会議等で報告されます。

Q	試験操業の対象種はどのように決めたのですか？
A	漁業者と県が実施している魚介類の放射線モニタリングにおいて、国の食品安全基準値である100Bq/kgを安定して大きく下回っている魚種の中から選定しました。
Q	対象種は何種類ですか
	出荷制限魚種（コモンカスベ、ビノスガイ）を除く全てが対象です。約１９０種（令和元年8月現在）を対象としています。

Q	操業海域の範囲はどこです？
A	福島第一原子力発電所から半径10kmを除く福島県沖全域が試験操業の操業海域となっています。

Q4	試験操業の計画はどのように決められるのですか？
A4	対象となる魚介類を漁獲する漁業者によって構成される操業委員会や協議会、作業部会等と仲買業者が相談して、試験操業計画の案を策定します。計画案は、相馬双葉地区（県中・北部）、いわき地区（県南部）で開催される漁業者や仲買業者等の代表による試験操業検討委員会において検討された後、国、県、有識者（大学や量販店等）、全漁連、県漁連、漁協、仲買業者等で構成される福島県地域漁業復興協議会で協議され、最終的には漁協組合長会議の承認を受けて実行されます。

Q5	どこに水揚げされますか？
A5	各漁港に水揚げされた後、相馬双葉地区は、相双漁協相馬原釜地方卸売市場（松川浦漁港）に、いわき地区は、小名浜魚市場、沼之内魚市場に輸送され、仲買業者と取引きされます。

Q6	どこに出荷されますか？
A6	県内の中央卸売市場の他、築地、横浜、仙台、名古屋等の県外中央卸売市場に出荷されます。

Q7	どこに行けば購入できますか？
A7	相馬市やいわき市内のスーパーで購入可能です。首都圏の大手量販店にも特設コーナーを設置しています（詳細は県漁連へお問い合わせください）。

Q8	産地表示はどのようになるのですか？
A8	基本的には福島県沖という表記になりますが、小売店では「相馬産」や「原釜産」、「小名浜産」などより詳細に表記されている場合もあります。　シラスやコウナゴ等の加工品については、原産地が「福島県沖」等、さらに加工した業者の住所が記載されます。東日本太平洋における生鮮水産物の産地表示方法について（水産庁HP外部リンク）

Q9	水産物の食品安全基準値はいくつですか？また、漁協で自主的な基準値を設定していますか？
A9	国の基準値は、放射性セシウム134、137の合計で100Bq/kgです。漁協では、50Bq/kgを超えたものは試験操業対象種にしていません。これは、国の基準である100Bq/kgを絶対に超えないようにするために、より安全性を考慮し、十分に余裕持った自主基準を定めていることによるものです。「食品中の放射性物質の新たな基準値について」【厚生労働省HP外部リンク】

Q10	試験操業の対象種は、不検出なのですか？あるいは何ベクレル／kgくらいなのですか？
A10	2019年（１～6月）は、3,019検体を検査し、99.7％が不検出（下限値10Bq／kg程度）でした。数値が出たものも国の基準値である100Bq/kgは大きく下回っています。

Q11	試験操業の検査結果や販売実績はどこに公表されますか？
A11	福島県漁業協同組合連合会のホームページに掲載しております。

２　検査体制・方法について

Q1	福島県の水産物の放射性物質検査体制はどのようになっていますか？
A1	相双漁協地方卸売市場と小名浜魚市場に検査室を設け、NaIシンチレーション、CsIシンチレーションの検査機器を設置しています。水揚げされた水産物について、国が定めるスクリーニング検査方法に従って検査を行い、検査の結果25Bq/kgを超えた場合には、福島県水産試験場に設置されているゲルマニウム半導体検出器で確定検査を行い、50Bq/kgを超えた場合には、当該魚介類の出荷を停止します。その後、モニタリング検査を強化し、再度安全が確認された場合には試験操業の対象とします。食品中の放射性セシウムスクリーニング法【厚生労働省HP外部リンク】県漁連スクリーニングマニュアル県漁連出荷方針
Q2	検査機器は何台ありますか？
A2	相双漁協地方卸売市場（松川浦漁港）にNaIが２台、CsIが６台です。小名浜魚市場にはNaIが３台、CsIが６台あります。
Q3	NaIとCsIについて、違いや特徴を教えて下さい。
A3	NaIはヨウ化ナトリウムを検出器に使用しています。CsIはヨウ化セシウムを検出器に使用しています。どちらもガンマー線を測定することが出来ます。
Q4	スクリーニング検査の検体数を増やす必要はないのですか？
A4	対象としている魚介類は、これまでのモニタリングでも十分に安全が確認されておりますので問題ないと考えています。
Q5	検査は誰が行いますか？
A5	検査は、県漁連が開催する研修会において、福島県水産海洋研究センターから専門的な知識と技術の研修を受けて、県漁連の認定を受けた者が行っています。
Q6	検査対象となる放射性物質は何ですか？
A6	国の基準値が設けられているセシウム134と137の合計値です。
Q7	スクリーニング検査は何検体検査しますか？
A7	水揚げ日、操業海域、魚介類の種類毎に１検体以上検査します。
Q8	スクリーニング検査の不検出（下限値）はどのくらいですか？
A8	NaIシンチレーション、CsIシンチレーションともセシウム134、137の合計値で、12.5Bq/kg を下回るように検査を行っています。
Q9	検査結果の公表はどのようになっていますか？
A9	福島県漁業協同組合連合会のホームページに掲載しています。
Q10	万一、出荷先で規制値（100Bq/kg）を超えた場合の対応策を教えて下さい。
A10	漁協、仲買業者（出荷業者）が責任を持って速やかに回収いたします。
Q11	コメのように全量検査は行わないのですか？
A11	現在の検査機器では、決まった形、同じ重量で、均一に混じり合ったものでないと検査が出来ません。水産物は大きさや形がバラバラで、出荷形態も活魚であったり鮮魚であったりするので、非破壊での全量検査は出来ません。このため、モニタリングで十分な安全性が確認された魚介類だけを試験操業の対象としています。
Q12	イカ・タコ類は放射性銀が多いと聞きます。銀の検査は実施しないのですか？
A12	放射性銀は、半減期が252日と短く、セシウム137に比べ実効線量率が成人で5分の1であること、銀は血液にヘモシアニンを含む軟体動物や節足動物の肝臓に蓄積することが分かっています。この肝臓を日常的に大量に摂取することは考えにくいことと、ヒトはヘモシアニンを持たないことから、国は規制を設けなくても人体への影響は殆ど生じないと判断しています。なお、半減期が１年未満の核種について､国は管理の対象としておりません。これらのことから、放射性銀の検査は実施しないこととしております。
Q13	他の放射性物質が、セシウムとして誤認されることについて
	放射性物質の種類によって放出されるガンマ線のエネルギー(eV)が異なることを利用して放射能の測定を行いますが、NaIやCsI検査機器は、Ge（ゲルマニウム）半導体検出器と比較すると、エネルギーの分解能力が劣るため、エネルギーピークが近い放射性物質については、正確に分離することが難しい特性があります。よって、自然界に元からあるビスマスなどをセシウムとして検出し、数値が出る場合があります。しかし、数値が高めに出るこの事象については、検査が安全側に振れることを意味するため、スクリーニング検査としては許容されます。
Q14	ストロンチウムは検査しないのですか？
A13	国では、放射性セシウム以外の核種（ストロンチウム、プルトニウム等）は、測定に時間がかかるため、これらの放射能の指標としてセシウム134とセシウム137の合計値を用いることとしております。食品中のセシウムの基準値を設定する際には、セシウム以外の核種が含まれている可能性も考慮し、十分安全側に立った値を設定しているため、セシウムの数値を注視していけば、他核種についても問題がないとしております。なお、国や東京電力がストロンチウムを測定した例がありますが、いずれも非常に小さい値です。「食品中の放射性物質の新たな基準値について」【厚生労働省HP外部リンク】「放射性物質の検査結果」（水産庁HP外部リンク）水産物の放射性物質の調査結果（ストロンチウム）（平成26年1月23日更新）（PDF：75KB）
Q15	トリチウムは検査しないのですか？
A14	トリチウムについては、国が定める食品中の放射性物質の基準値に該当しないので、現時点では検査の予定はありません。なお、漁場における海水中のトリチウムについては、県や東京電力が検査を行っており、不検出であることを確認しております。トリチウムは弱いβ線しか放出しないため、人体への放射性物質の影響は、同濃度のセシウム-137と比べると、約700分の1です。
Q16	全βは検査しないのですか？
A15	全βはストロンチウムの目安として測定されています。漁場における海水の全βは、不検出又は非常に小さな値で、震災前と変わらない状況にあります。魚介類へのストロンチウムの影響については、ストロンチウムの項目を参照してください。

参考

水産物についてのご質問と回答（放射性物質調査）（水産庁HP外部リンク）